引用元:ドラゴンクエスト ユアストーリー公式サイト

ドラクエの主人公の名前でトラブルが

1992年に発売されたゲーム「ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁」を巡って訴訟トラブルが起きています。1993年に発売された同ゲームの小説を書いた作家が、2019に公開された映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の主人公の名前が小説の主人公の名前と同じだとして訴訟を起こしたのです。

色々なドラゴンクエストⅤ

国民的RPGシリーズの1つ「ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁」は1992年にスーパーファミコンソフトとして発売されました。賞ねんから青年、そして父親へと至る壮大なストーリー、物語の途中で花嫁を選ぶ印象的なイベント、そしてモンスターを仲間にできるシステムなどで好評を博しました。
翌年の1993年、ゲームを元に久美沙織氏がノベライズ化。そしてそれから26年後、全編3DCGとなった映画「ドラゴンクエスト ユアストーリー」が公開されました。映画もドラクエⅤがベースになっています。

ドラクエは伝統的に主人公に名前が決まってなく、プレイヤーが自由につけられるようになっています。92年のゲームも当然主人公に明確な名前はありませんでした。
ただ、小説や映画と言った利用者が介入できないメディアの場合、そういうわけにもいきません。物語を成立させる為には制作側が主人公の名前を決めなくてはなりません。
問題はここで起きました。

小説版の主人公の名前は「リュカ」と言います。そして「ドラゴンクエスト ユアストーリー」の主人公の名前も同じ「リュカ」だったのです。更に小説には「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」という称号も出てきます(主人公はとある王国の王子だった事が判明。こちらの王としての名前)。そして映画にはよく似た「リュカ・エル・ケル・グランバニア」という称号が出てくるのです。
これに対して小説を書いた久美沙織氏が不満を述べ、損害賠償を求める訴訟を起こしたのです。

スクウェア・エニックス側は「リュカはありふれた名前なので創造性は否定される。著作物として保護されない」と説明して協議には応じていないと言います。
一方の久美沙織氏は「リュカは小説を元にしたと認め、広く世に伝えてほしい」と話しているとの事です。

名前は著作権なのか?

名前が著作権に当たるのかどうかは難しい所と言えます。
「リュカ」という名前も、この作品にしかないというわけではありません。2006年に任天堂が発売したゲーム「MOTHER3」の主人公の名前もリュカですし、そもそもこの名前も1988年にフランスの作家アゴタ・クリストフが書いた小説「ふたりの証拠」(悪童日記の続編)の主人公の名前から取ったと、「MOTHER」シリーズの生みの親である糸井重里氏は公言しています。

とは言え、同じ作品をベースにしたメディア作品の主人公の名前が「偶然一致する」とは考えにくく、今回の件に関しては意識された事は間違いないと思われます。
事前に一言言っておけば、もしかしたらこんなトラブルは起きなかったかもしれません。この問題がどう決着がつくのか、気になる所です。