出会い系とマッチングアプリ

劇的に変わった「出会い系」

「チャージせずに使えるPayPayの「あと払い」は便利なのか? それとも沼なのか?」でも、少し触れていますが、筆者は昔、まだガラケーが全盛期だった2000年代前半、出会い系サイトと呼ばれるサイトをチェックする仕事をしていた事があります。
今でこそ「マッチングアプリ」などと言われ、芸能人ですら利用している状態ですが、一昔前はとにかく「いかがわしい雰囲気」が付きまとい、健全な利用者はほとんどいなかったと言われています。
どうしてこれほどまで変わったのか、筆者なりの考えをお話できればと思います。

昔の出会い系

ガラケー全盛期の2000年代前半、アンダーグランドで盛り上がっていた(と思う)「出会い系サイト」。筆者は仕事で何十という出会い系サイトを見てきましたが、半分以上、いや、ほとんどがいかがわしいサイトでした。
トップには綺麗な女性の画像が使われ、「H相手を探してます!」というキャッチコピーが躍っていました。実際に登録してみると、すぐに女性達からゲリラ豪雨のごとく「今日会える? ホテルがいいな~」とか「相手してくれたら5万円あげる」などと言ったメールが送られてきました。
大抵のサイトは「ポイント制」になっており、「メールを見る」「メールを送る」と言ったアクションをするとポイントが減り、追加するにはお金がかかるというシステムでした。

大体分かると思いますが、ほとんどのサイトがいやらしいメールで男性を引っ掛けて、お金をむしり取るというサクラサイトでした。もちろん、実際には会えません。「ごめん、今日予定が入っちゃって」などと言って、直前でドタキャンです。筆者も自称女性と100回以上会う約束をしましたが、実際には一度たりとも会えませんでした。
更に勝手にポイントがマイナスになる「後払い」、自動的に他の出会い系サイトにも登録される「同時登録」などと言った悪質なシステムも珍しくなく、この頃の出会い系サイトは本当に悪い意味で何でもありの状態でした。

そして、メディアでは「出会い系サイトで知り合った女性が乱暴された」「男性が美人局に遭ってお金を取られた」などとネガティブなニュースばかり流していた為、当時の人々は「出会い系は怖いサイト」というイメージが根付いてしまったのです。

今のマッチングアプリ

現在のマッチングアプリもおおまかなシステム自体は、出会い系サイトとあまり変わりません。しかし、そのイメージは昔とは大きく異なります。
いくかの要因はありますが、個人的には以下の2つが大きかった思います。
1つは法の整備です。2000年代前半までは出会い系をハッキリと管理する法律はありませんでしたが、2003年に18歳未満の児童を性行為目的で誘い出すのと禁止した「出会い系サイト規制法」が成立。2009年には同法で営業の公安委員会への届け出義務、利用者が未成年ではない事を証明するために、運転免許証など本人確認が義務化され、詐欺まがいのサイトが次々と消滅していったのです。

そしてもう1つが「大手の参入」です。結婚情報誌ゼクシィが運営する「ゼクシィ縁結び」、Yahoo!が運営する「Yahoo!パートナー」など、一般にも名が知られている企業が次々と出会い系に参入し、次第にイメージが変わっていったのです。大手企業運営ですから、サクラと言った詐欺まがいの事や、肉体関係メインと言った怪しいやりとりも厳しく取り締まられ、健全な出会いが増加し、イメージは更に良くなっていきます。

そして、悪いイメージが完全に染み付いてしまった「出会い系」という言葉を捨て、新たに「マッチングアプリ」という言葉が生まれていったのです。

今もトラブルはありますが、少なくとも筆者がガラケーで出会い系サイトをチェックしていた頃に比べれば、その数は格段に減少しています。料金体系も、ほとんどのサイトが月額制をとるようになり、出会えるかどうかは別にして、お金に関するトラブルも減っています。

良い時代になったものだ

出会い系サイトチェックをしていた頃は、「こんなおっかないサイトがあるなんて、やっぱり携帯電話のインターネットで怖いわ~」などと思っていました。
それが今はどうでしょう? スマホも登場し、携帯電話によるインターネットの活躍は目覚ましい進歩を遂げました。昔は荒い映像でしか見れなかった動画コンテンツ(しかも短時間)が、今ではテレビと何ら遜色ないレベルですからね。

出会い系もマッチングアプリへと姿を変え、今は「数ある出会い方の1つ」として認知されるまでに至りました。筆者も若い頃にマッチングアプリと出会っていたならば、今よりも恋愛に関しては経験豊富な男になれていたかもしれません。まあ、あれはあれで貴重な経験にはなりましたが(汗)。

悪しきモノは淘汰されて消えていき、正しきモノだけが残る。素晴らしい流れだと思います。
今の若者(おじさんおばさんでも可)は、澄み切った世界に変わった「インターネットの出会い」をたっぷり楽しむべきですね。