スマートフォンの定義とは

皆さんは「ガラケーとスマホの違い」は何だと思いますか?
筆者も含め一般的なイメージとしては……

・ガラケーは2つ折りのパカパカしたデザイン
・ガラケーは電話とメールがメインで、アプリは少しだけ
・スマホはタッチパネル式
・スマホはアプリをいっぱい入れられる

こんな感じなのではないかと思います。

実はガラケーとスマホには明確な定義は無いと言われています。「〇〇があれば絶対ガラケー」「〇〇があれば絶対スマホ」というハッキリとしたモノは無いらしいのです。
ただ、前述した通り、ガラケーにはガラケーらしさ、スマホにはスマホらしさというものが既に出来上がっており、メーカーの方もおおむねそのデザイン・仕様からは大きく外れる事の無いモノを作っているのが現状です。

スマートフォンの印象としてはやはり「タッチパネル式」というのが大きいかと思います。
ボタンではなく、画面を直接タッチする事でシステムを起動させるスタイルは、それまでのボタン式のガラケーとは一線を画す「未来感」がありました。
では、世界で初めて携帯電話に「タッチパネル」を用いた機種は何だったのでしょうか? 初代iPhone? 違います。実はiPhoneよりも遥か昔にタッチパネルを用いた携帯電話があったのです。

世界初のスマホ「IBM Simon」

世界初のスマートフォン引用元:Wikipedia

1994年にIBMが発売した「IBM Simon Personal Communicator」(通称:IBM Simon)は、世界で初めて「携帯電話にタッチパネルを組み込んだ」携帯電話でした。
電話機能は勿論、FAX、電子メールの送受信、携帯電話対応サイトの閲覧などができる携帯電話で、当時はまだ「スマートフォン」という言葉は存在していませんでしたが、現在ではこの機種が世界で最初の「スマートフォン」だと言われています。

しかし、この記事を読んだほとんどの人が「そんなの知らない」と思っている通り、この携帯電話は決して広くは普及しませんでした。販売台数は約5万台前後だったと言われています。日本でも発売はされませんでした。
理由は色々とありますが、やはり世間がまだ成熟していなかった事が最大の原因と言われています。当時はまだガラケーのような携帯電話すら十分には普及しておらず(日本ではポケベルが大流行していた)、パソコンやインターネットもまだまだ黎明期であり、一般的ではなかったのです。
この機種は時代を先取りしすぎたのです。

そしてiPhoneの登場

その後、日本ではフューチャーフォン、いわゆる「ガラケー」が普及し始めました。この頃になってようやく「電話は一家に一台」ではなく「1人が一台常に持つ物」の時代になっていきます。
そしてIBM Simonの登場から17年後、2007年にApple社から「iPhone」が発売されました。近未来的なデザイン、ガラケーよりも遥かに多くの事ができる多機能性、パソコン並みのスペックなどがおおいに注目されました。
ちなみに初代iPhoneは日本では発売されませんでした。最初なのでAppleも販売に慎重になっていた事、何よりiPhoneが採用していた電話で使用する通信方式が日本では使われていなかった為、電話機能が使えなかった事が最大の要因と言われています。日本でiPhoneが発売されるのは2008年の「iPhone3G」からとなります。
その2008年にはAndroid端末も発売され、全世界に爆発的な勢いで「スマートフォン」が普及していきました。

前述した通り、タッチパネル式など、全ての技術が「iPhone」から始まったわけではありません。しかし、パソコンやインターネットなどが十分に普及してきた時代に登場した事もあり、時代のニーズと見事にマッチングし、爆発的な普及へと繋がっていったのです。
「スマートフォン」という言葉が一般的になったのも、やはりiPhoneの登場による影響が決定的だったと言えます。

大事なのは世界初ではなく「世界初普及」

インスタントラーメンも実は「チキンラーメン」が世界初ではなく、それ以前にもインスタントラーメンはあったと言われています。が、今有名で広く食べられているのはチキンラーメンです。
大事なのは「世界初かどうか」ではなく「その技術が広く知れ渡るかどうか」です。そういう意味で言えば、やはり世界初のスマートフォンは「iPhone」だったと言えると思います。
ただ「IBM Simon」がiPhoneに多大な影響を与えた事もまた事実なのです。