ボンバーキングとは?

「ボンバーキング」は1987年にハドソンから発売されたファミコン用のアクションゲームです。物語は異次元生命体に侵略された惑星アルタイルを救う為に主人公「ナイト」を操作し、敵を倒していくというモノ。
1985年に同社から発売され、今もシリーズが続く人気シリーズ「ボンバーマン」の続編という位置づけで発売されましたが、ゲームデザインは大きく異なっており、「続編」である事を知っている人は少なめ。実際「ボンバーキング」という名前では、ゲームボーイでリメイク版「ボンバーキング シナリオⅡ」が出ただけで、実質2作で完結しています。

そんなボンバーキングですが、勇壮なBGM、子供心をくすぐる攻撃アイテムにSFチックな世界観と、当時小学生だった筆者は夢中になりました。しかし、そんな浮付いた心を粉砕するほどの難易度も持っていました。
今回はそんなボンバーキングの魅力をご紹介したいと思います。

イラつくゲーム内容

ゲームは木々やブロックで覆われたステージを爆弾で破壊しつつ、様々なアイテムを取りながら敵を倒しゴールを目指すという内容です。途中途中にはボスも登場します。ステージはオープニングも合わせて27ステージ。

本作最大のポイントは何と言っても「ブロックを爆弾で破壊する」という部分です。木々やブロックは画面を埋め付くほどの量で、爆弾でそれらを吹き飛ばし、自ら道を開拓していく必要があります。この作業がゲームの70%くらいを占めており、ここに魅力を感じなければ本作を楽しむ事はできません。
そして、この爆弾が極めて厄介で、爆風に巻き込まれるとナイト自身もダメージを受けます。このダメージが極めて大きく、序盤では一撃で死亡。終盤でも2~3発当たったらやられてしまいます。その為、本ゲームの死因の第一位はダントツで「自爆」。ちょっと操作を間違えて爆弾の配置を誤ると即やられてしまうのです。これが「昭和の自爆王」の異名の由来です。
筆者は今まで100回くらいはこのゲームをやっていますが、たぶん、その内90回は自爆でによってやられています。

他にも、道中で「鍵」を取らないとゴールが出現しないステージ、「秘宝」を取らないとステージが永遠にループするステージ、一ヵ所だけ爆弾で破壊できるがヒントが一切無い壁、とプレイヤーをイラつかせる要素が極めて多く、初見でクリアするのはまず不可能。既に40を過ぎた筆者ですが、未だに一度もクリアした事がありません。87年のアクションゲームですからセーブ機能なんてモノも無く、おそらく永遠にクリアはできないものだと諦めています(汗)。

魅力的な所もある!

と、非常に難易度が高く、よほど慎重にやるか運が良くないとクリア不可能な「ボンバーキング」ですが、今でも熱狂的なファンがいます(たぶん、世界で1,000人くらいだと思いますが)。
難易度は確かに高いものの、ゲーム自体はとても丁寧にシッカリと作られており、バグなどは一切ありません。また、冒頭で書いた通り、魅力的な部分も数多くあるのです。

●BGMがとてもカッコいい
おそらく本作ファン全員が挙げるであろうポイント、それが「音楽」です。特にゲーム中最も流れる「メインテーマ」はとても勇壮なメロディで、聞いてると力が湧いてきます。また、このメインテーマは「ボンバーキングのテーマ」という名前でテーマソングにもなっており、なんと「歌詞」も用意されています。
こんなに力が入れられたBGMは当時しても珍しかったと思います。

●サウンドもカッコいい
BGMばかりに気をとられがちですが、サウンドも一級品でした。特に最も使う事になる爆弾の「ドガアアン」という効果音は実に心地良く、何百回聞いても飽きません。アイテムを取った時のサウンドなんかも印象的でしたね。

●子供心をくすぐるアイテム達
ブロックを破壊する爆弾、ブロックを一列吹き飛ばすミサイル、ビームが上下左右4方向に出るクロスファイア、そして画面上の全てのブロックを一撃で吹き飛ばすメガトン爆弾……。勇壮なBGMを聞きながらこれらの武器を駆使して道なき道を進んでいく……。これでワクワクしない子供なんていないと言ってもいいでしょう。
特別斬新なゲームデザインではありませんでしたが、子供が惹かれるあらゆる要素がギュッと詰まった作品でもあったのです。
40過ぎた今でもBGMを聞くとテンションが上がってしまいます。

これらの魅力は今も色褪せる事無く、筆者の心にシッカリと刻まれています。まあ、今からキチンとやろうとまでは思いませんけど(難しいから)。

今プレイしたい人は

残念ながら本作は今も昔もあまり大きな話題になる事はありませんでした。その為、今は公式サイトも存在せず、アーカイブ配信も一切されていません。もしもプレイしたい人はもはや骨董品とも言えるファミコンとゲームソフトを用意する必要があります。
ただ、希少性は全くない為、どちらもAmazonなどの通販サイト、メルカリなどのフリマサイトで簡単に購入する事ができます。もしも今からやりたいと思った方はぜひとも機材を揃えてやってみてはいかがでしょうか? 今のゲームには無い懐かしさと理不尽さを味わえると思います。