大貝獣物語

マイナーだけど面白いゲーム

技術の向上により、今や実写のような映像を実現できるようにまでなったテレビゲーム。ただ、色々なゲームをプレイした筆者から言わせてもらうと「映像がキレイ=面白い」ではありません。もっと言えば「新しいゲーム=面白い」というモノでもありません。古くても面白いゲームはたくさんあります。今、レトロゲームが注目されているのは、そう感じている人が多いからなのではないかと思います。

そこで今回は、筆者が子どもの頃プレイし、今でも鮮明に記憶している個人的名作ゲームをご紹介したいと思います。

大貝獣物語

今回ご紹介するのは、1994年にSFCソフトとして発売されたRPGゲーム「大貝獣物語」です。
1988年にファミコンで「貝獣物語」という作品が出ており、その続編です。システムやキャラなど一部引き継がれている要素もありますが、作品としては独立しており、前作をプレイしていなくても問題はありません。

物語は、平和な世界シェルドラドに突如大魔王ファットバジャーが襲来。世界は大混乱に陥る。困った人々は異世界から勇者を呼び出し、ファットバジャーを倒すようお願い。勇者(主人公)は願いを聞き入れ、冒険の旅に出る……という超王道ストーリーです。
システムは「ドラゴンクエスト」を手本としたオーソドックスなRPGで、それほど奇抜な要素は無く、これまでRPGをやってきた人ならすぐにできると思います。

筆者は「貝獣物語」は持っていたんですが、中古で買ったせいなのかセーブ用の電池が切れており、いくらセーブをしても、次に起動させるとデータが消えているという悲惨な事になっていました。当時は電池交換なんて事はできなかったので、泣く泣く「貝獣物語」は諦め、そのリベンジも含めて本作を買った事を記憶しています。

良かった点

本作で特に称賛されているのが「キャラクター」と「ストーリー」の2点です。

まずはキャラクターです。
いわゆる「いるだけ仲間」ではなく、各々のバックボーンもシッカリ描かれており、非常に愛着が湧きます。キャラクターも、貝獣であるバブ・クピクピ・ポヨン、狼男のガロウ、石男のザルドン、鳥男のバード、大魔導士のマギーなど個性豊か。特に3人の女性キャラクターが魅力的で、多彩な魔法を覚え、最大魔法「ラストレインボー」がチートクラスの性能だったロリッ娘のトキア。攻撃力もそこそこありながら氷系魔法が強力だったツンデレ王女様のキララ。回復・補助系魔法のエキスパートの金髪巨乳シスターのリンダ。この3人を連れて温泉に行くと(テキストだけですが)ちょっとエッチなトークをしてくれるというおまけイベントもありました(笑)。
94年の作品でありながら、あらゆる「属性」を揃えており、時代が時代だったらもっと高い人気が出ていたと思います。
ちなみに筆者の最強パーティーは確か主人公・ガロウ・キララ・トキアの3名だったと思います。

次はストーリーです。
出だしこそ王道ですが、道中は結構苛烈な展開が多めです。
津波に襲われるは、住人がモンスターに襲われて結構死ぬわ、そして多くのプレイヤーのトラウマとなったバイオスペースでのイベント(攫われた人々の養分を吸う生きたダンジョン)など、可愛い見た目とは裏腹にエグい描写が多めです。
ただ、それでも決して諦めずに立ち向かう人々の姿もシッカリ描かれており、このドラマはとても良かったと思います。

他にも、スーパーファミコンとしてはハイレベルなグラフィックもポイントです。
ダメージを負うとグラフィックが変わると言った工夫がされており、何百回と行う戦闘も最後まで飽きずに楽しむ事ができます。

気になる点

欠点はほとんどありませんが、唯一、そして最も気になる点として「全体的にトロい」という事が挙げられます。
フィールドでの歩く速度、戦闘に移行する際の待ち時間、メニューを出す際の待ち時間と、どれもこれもイマイチというかかなり遅い。ディスクではなくロムカセットなのにです。ここがパッパッと切り替わってくれていたなら、確実に本作を「大傑作」と言っていたと思います。
また、戦闘こそハイグラフィックですが、一方でフィールドでのグラフィックはかなり貧弱で、スーパーファミコン初期レベルといわざるをえません。ここももう一踏ん張りしてほしかったです。

今やりたい人は

以前は携帯アプリ(スマホではない)として配信されていたのですが、2022年現在は配信は終了。残念ながら、現行の機種でプレイする方法はありません。やりたい場合は、ゲームショップやメルカリなどで現物を手に入れて、スーパーファミコンを押し入れから引っ張り出して遊ぶしかありません。
という事で、今は非常に不遇な作品と言えますが、ゲームとしてはとても意欲的で面白い作品だったと思います。もしもプレイする機会があれば、ぜひとも楽しんでもらえたらと思います。