ちょいとマイナーなゲームをご紹介!

世の中にはとても面白いのにイマイチを注目を浴びず、埋もれていく作品が少なくありません。そこで、この記事では、世間的な知名度はイマイチながらも、筆者が実際にプレイして面白かったゲームをご紹介したいと思います。

黄泉ヲ裂ク華

黄泉ヲ裂ク華

今回ご紹介するのは、主に3DダンジョンRPGを開発している日本のメーカー・エクスペリエンスから2020年に発売されたRPG「黄泉ヲ裂ク華(よみをさくはな)」です。対応機種はPS4/Switch/Xbox One。2022年には有料コンテンツが最初から収録されているベスト版「EXPERIENCE SELECTION」も発売されています(ベスト版はPS4/Switchのみ)。
舞台は1979年の日本。突如現れた「黄泉」と呼ばれる謎の構造体の中では「黄泉資源」と呼ばれるエネルギーが採掘される為、「地下探行士」と呼ばれる職業の人達が活躍していた。が、ある日、謎のトラブルが発生し、黄泉から出られなくなってしまい、そこからの脱出を試みる……。というのが本作のストーリーです。
システムは国産RPGをベースとした3DダンジョンRPGで、主人公を始め全メンバーをキャラメイクし、ダンジョンに潜ってレベルを上げたり、レアアイテムなどをゲットしながら更に奥に進んでいくというオーソドックスなスタイルとなっています。

面白かった所

黄泉ヲ裂く華

●唯一無二の奇妙な世界観
昭和の日本が舞台ながら、そこにファンタジーのテイストが加味されており、他の作品には無い独特な雰囲気を放っています。
キャラメイクについても一般的な戦士や僧侶などとは異なり、鎧を来たサラリーマン、弓を構える婦人婦警、般若の面を被ったキャバ嬢など、現代とファンタジーがごちゃ混ぜになった感じでオリジナリティに溢れており、キャラメイクから面白かったと思います。
一方、作中ではマンホールから死んだ人間の体の一部が出ていたり、仲間がモンスターに惨殺されたりと言ったグロテスクな描写もかなりあり、多少は人を選ぶものの、それもこの作品の「味」だと思います。

●興味深い設定
本作に出てくるボスは「罪人」と呼ばれ、死んだ人間が黄泉の力で化け物として復活した、という設定になっています。ボス1人1人に非常に細かい設定がされており、これが実際に起こった事件などをモチーフにしたとしか思えないモノになっており、非常に興味深いものになっています。
例えば、最初に戦うボス「人狩りの看守長」は過去に連続殺人を犯したという設定になっており、詳細はどう見ても「津山事件」です(事件の詳細はウィキペディアで調べてみましょう)。別のボス「死星天使」は1960~70年代の学生運動に活躍した若者を連想させるモノになっています。
他にもヨミヌーというカップラーメンを集めるサブイベントがあり、集めると、その世界で流行っているシールが手に入るんですが、それも「3年B組黄泉先生」「ウォーカーマン」など、現代で流行った物のパロディになっています。
どちらもそこまで細かく設定する必要は無いのに、シッカリとテキストを用意するあたりに強いコダワリを感じました。

●やり直しの効くキャラクターメイキング
一般的な3DダンジョンRPGは、最初に決めた職業、レベルアップ時のパワーアップなどは、一度決めるとそう簡単には変えられません。しかし、本作は一切のペナルティなく何度でもやり直しができます。体力が少ないと感じたら振り直して体力を上げたり、使えないスキルだと思ったら別のスキルに振り直す事もできます。キャラクターの転職も何度でも可能で、使いづらいと感じたら、簡単に変える事ができます。
使っていく事で「変えたいな…」と思う事が少なくないダンジョンRPGの中では、特に融通の利く素晴らしいシステムだと思います。

●ストレスの無いバトル
ゲームプレイのほとんどを費やすバトルですが、全体的にスピード感があり、ストレスは感じません。高速バトルにすれば一瞬で終わらせる事もできます。レベル上げなどにしても、「マモノの花」というアイテムを置くだけで簡単にバトルが出来ます。
長くプレイする上で出来る限りストレスを無くす努力が垣間見えました。

気になった所

黄泉ヲ裂く華

●中盤からは案外普通のファンタジー
序盤こそ、生々しくグロテスクな世界観が大いに目立っていて面白かったんですが、中盤以降になると森やら墓地やら塔や城などと言った、普通のファンタジー作品っぽい舞台になってしまい、ちょっと残念だと思いました。できれば最後の最後までグチャグチャな世界観の方が面白かったと思いますね。悪趣味ですけど。

●敵の使い回しが多い
本作には数多くの敵が出てきますが、そのほとんどが色程度しか違いがありません。もともと大予算で作られた作品ではない感じなので、ここまで時間をかけられなかったのかもしれませんが、それでももう少しバラエティに富んだビジュアルを用意してほしかったです。
「ああっ、こいつ、見た事あるわ」と思ったら上位種でボコボコにされた事も一度や二度じゃなかったですからね。

●「昇進」だけはやり直しができない
良かった点において、「キャラメイクのやり直しができる」と書きましたが、唯一「昇進」だけは一度決定すると変更ができません。昇進は簡単に言えば「上位職業への転職」で、昇進しないと覚えられないスキルもあります。
昇進するには特定のアイテムが必要で、それも非常に貴重で、最後まで頑張っても1人2種くらいしか昇進させられません。どの職業を昇進させるかは非常に悩みました。せっかくなら、ココも自由にやり直しができると良かったと思います。

●ピーキーすぎるバランス
序盤は普通のRPGですが、中盤以降、敵の攻撃が苛烈になっていき、決められた戦法を駆使しないと雑魚にも勝てなくなってしまいます。決められた戦法とは、いわゆる「盾役」を用意するという方法です。
一般的な3DダンジョンRPGには防御スキルが豊富な盾役がよくいますが、エクスペリエンスのゲームはその傾向が特に顕著で、徹底に防御に振り切ったキャラクターを作り、ソイツにほぼ全ての攻撃を受けてもらうという作戦をとらないと、雑魚にすら勝てません。
できれば、色々な戦法で切り抜けたかったので、このバランスはどうにかしてほしかったなと思います。

●パッケージが変
通常版のパッケージは、主人公達が勤める会社の社長がデカデカと描かれるというイラストになっています。社長もそこそこ重要なキャラではあるんですが、パッケージの真ん中を飾るほどの人物ではなかったんじゃないかな? ちなみに、筆者の持っている「EXPERIENCE SELECTION」のパッケージは化け物に主人公達が食い殺されているという、更に意味不明なイラストになっています。
もっと印象的なイラストは用意できなかったんでしょうかね? 通常版パッケージ上部にうっすらと別の女性が描かれているんですが、個人的にはその子を中央に持って来た方が良かったんじゃないかなと思います。あの子が最重要キャラだったわけですし。
もっと印象的なイラストだったら、もっと売れてたかもしれないな、と思います。

RPGが好きな人はぜひ!

見た目こそ非常に個性的ですが、実際のゲームプレイは過去に「ウィザードリィ」などの3DダンジョンRPGをプレイした事がある人なら、案外すんなりと入れるモノだと思います。
レアアイテム探しなど、やり込み要素も多く、筆者はクリアまで50時間くらいかかりましたが、最後まで飽きずに楽しめました。
気になった方はぜひともプレイしてみてください。なお、今からやるならベスト版の方をお勧めします。

【サイトはコチラ】
https://yomibana.jp/
画像引用:「黄泉ヲ裂ク華」公式HP