エンダーリリーズ

ちょいとマイナーなゲームをご紹介!

世の中にはとても面白いのにイマイチを注目を浴びず、埋もれていく作品が少なくありません。インディーゲームを手軽にプレイできるようになった今は、特にその傾向が強いと感じます。
そこで、この記事では世間的な知名度はイマイチながらも、筆者が実際にプレイして面白かったゲームをご紹介したいと思います。

ENDER LILIES(エンダーリリーズ)

今回ご紹介するのは、日本のゲームメーカー・Live WireとAdglobeが開発、Binary Haze Interactiveが販売を手掛けた2DアクションRPG「ENDER LILIES(エンダーリリーズ)」です。正式名称は「ENDER LILIES Quietus of the Knights(エンダーリリーズ クワイタス オブ ザ ナイツ)」。
現在の対応機種はPS4/XboxOne X|S/Win(Steam)/Switch。

探索型「悪魔城ドラキュラ」などに代表される「メトロイドヴァニア」というジャンルの作品で、敵を倒してレベルを上げ、ボスを倒す事で様々なスキルが手に入り、そのスキルを使ってそれまで進めなかった所を進み、探索範囲を広げていきます。
物語は「死の雨」と呼ばれる雨によって生きとし生ける者が「穢者(けもの)」と呼ばれる怪物に変貌してしまった「果ての国」を舞台に、教会で目覚めた少女リリィと彼女を守護する黒騎士が、国の謎を追うというモノ。
ちなみに、主人公の少女の名前は「リリィ」ですが、タイトルは「リリーズ」です。「ィ」「ー」が違うので、間違えないようにしましょう。

マイナーなゲームと銘打った記事ではありますが、本作はパッケージ版・ダウンロード版合わせて販売本数が100万本を超えており、十分ヒットタイトルです。メトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルが好きな人なら既に遊んでいる人も多いのではないかと思います。

良かったと感じた点

〇白と黒のコントラストが美しいビジュアル
本作は暗いステージがほとんどで、出てくる敵は不気味な異形ばかり、朽ちた世界が舞台なので町も城もボロボロで、全体的に暗い雰囲気に満ち溢れています。その中で主人公リリィだけがまばゆいほどに真っ白なビジュアルになっており、非常に印象的です。リリィの可憐な容姿も印象を深くしていると思います。
このコントラストを見るだけでも、本作をプレイする価値があるのではないかとすら思いますね。

〇美しい音楽
そんなモノクロの世界観を反映してか、BGMはピアノがメインの静かな楽曲がほとんど。ボス戦であろうとロックな曲になる事はありません。でも、本作にはそんな物静かな音楽がこれ以上無いほど見事にマッチしており、作品を形成する大事な要因になっていたと思います。

〇非常に快適な操作性
攻撃はスピーディー、リリィの動きも大変スムーズで癖が無く、操作性に関しては文句一つありません。攻略の要となる回避もパッと出せて、とても気持ちが良かったです。まあ、そうでなかったらおそらくクリアできないと思いますが……。
ゲーム自体は極めて難しいんですが(後述)、それが操作性に起因するモノではないというのはアクションゲームとして極めて正しい形だと思います。

〇親切な設定も多い
既に書いていますが、本作は非常に難しいです。一方で親切な設計も随所に見られ、特に筆者が嬉しいと感じたのは「デスペナルティが無かった」事。例えやられても最新のレストポイントに戻されるだけ。しかも、それまでに得た経験値やアイテムも全て引き継がれているので、時間が無駄になる事がありません。
他にも、アイテムの取り残しがあるステージがマップ上で分かったり、早い段階でファストトラベルが解禁されたり、レベルは最初から最後まで常にコンスタントに上がるなど、親切な設定も多く、投げ出さなかった要因の1つになったと思います。

〇取れないアイテムが取れた時の嬉しさ
これはメトロイドヴァニアタイプのゲーム全般に言える事ですが、最初は進めなかった場所・取れなかったアイテムが、新たに手に入れたスキルなどを使う事で行けた・取れた時の嬉しさはやっぱり格別です。これがあるからメトロイドヴァニアはやめられないんです。

●気になった点

〇心をへし折る高難易度
最近は高難易度のゲームが流行っていますが、本作もそれに漏れず、アクションが苦手な人だったら投げ出すほどの高難易度です。
敵の攻撃が苛烈というもありますが、最大のポイントは「ダメージが大きい」という事。ボス戦では一撃が致命傷になる事も珍しくなく、私は全てのボスで10回はやられました(中ボスは除く)。特に黒の魔女イレイェン・狂い騎士ウルヴの2体には心をへし折られましたね。
ラスボスも鬼畜的な強さで、一時は「こんなんクリアできるか!」と諦めかけた事もありました。自力でエンディングが見たいという一心でやりまくり、奇跡的に一回だけクリアできましたが、もう一度倒せと言われてもできるかは分かりません……。

レベルアップでは体力は上がらず力のみ。アイテムで体力上限を上げても焼け石に水と言った感じで、結局は自身のテクニックが勝敗を分けます。「上手くなる事も楽しさである」と、とあるゲームクリエイターが言っていましたが、筆者個人としてはイージー・ノーマル・ハードと言った難易度設定ができると嬉しかったです。そうやって間口を広げれば、もっとたくさんの人がプレイすると思うんですけどね。

〇ストーリーが把握しにくい
どうしてこんな世界になったのか、リリィとは何者なのか、そう言った情報はステージ上にある書物などを見る事で分かるんですが、情報が細切れになっており、非常に分かりにくいんです。筆者はリリィの正体は理解できましたが、最後に出てきた「あの人」が誰なのか、よく分かりませんでした……。
ストーリーの全容が分かるようなイベントシーンなどを用意してくれると嬉しかったですね。

〇一部、取得しにくいアイテムがある
ごく一部ではありますが、通常のジャンプやスキルでは届かない場所にアイテムが隠されている、非常に厄介な場面がありました。筆者は攻略サイトなどを見て、何とか全て取りましたが、自力で取るのはまず無理なんじゃないかと思えましたね。
ただでさえ難しいんだから、ソコは誰でもキチンと取れるようにしてほしかったです。

●総評
難易度は極めて高く、アクションが苦手な人はクリアできない可能性もあります。しかし、それをさせないほど世界観・キャラクターは非常に魅力的です。このバランスこそが、本作最大のポイントなのかもしれません。
メトロイドヴァニアゲーム、高難易度アクションゲームが好きな人ならやってみて損は無いと思います。

【サイトはコチラ】
https://ja.enderlilies.com/
画像提供:Binary Haze Interactive