アクトレイザー・ルネサンスのレビュー引用元:スクウェア・エニックス

アクトレイザー・ルネサンス

1990年にスーパーファミコン用ソフトとして発売され、今も根強い人気の「アクトレイザー」。そのアクトレイザーが31年の年月を経て「アクトレイザー・ルネサンス」としてフルリメイクされました。
オリジナル版を10回はプレイしているゴリゴリの「レイザーファン」の筆者は、この情報に狂喜乱舞。普段、新作にはあまり手を付けないんですが、これは我慢できず、すぐに購入してしまいました。ちなみにパッケージ発売はされておらず、ダウンロード専売のみです。

「あの時の感動がまた味わえるなんて…」と喜び勇んでプレイ。うわぁ! 音楽が壮大になってる! 天使もカワイイ! と最初はウキウキでした。……が、遊んでいく内に正直に言うと予想していたのとは若干違うと感じるようになり、その違和感はプレイすればするほど大きくなっていきました。結論から言うと、想像していたほどの面白さは味わえませんでした。
一体、何がそう感じたのか、細かくお話していきたいと思います。

オリジナルとの相違点

「アクトレイザー」は、魔王に支配され、人間がいなくなった世界が舞台。プレイヤーは「神」となり、6つの地域に降り立ち、はびこる魔物を倒し、人の復活させ繁栄させていく事が目的です。敵と戦う「アクションパート」と、人間(街)を繁栄させる「クリエイションパート」に分かれているのが特徴です。

まずはオリジナル版と「ルネサンス」の相違点を挙げていきます。

●グラフィックの向上
31年も経っているだけあり、グラフィックは比べ物にならないほどの向上。アクションパートはもちろん、特にクリエイションパートで出来上がる街は非常に美しくなっています。

●BGMはアレンジ、新曲も追加
元々のBGMも「ファミコンとは全く違う」と当時は驚かれましたが、それが現代の技術でフルオーケストラアレンジされています。更にオリジナル版には無かった新曲が10曲以上追加されています。

●アクションパートの追加
街にある「魔物の巣」を封印する際にも小さなアクションパートが発生するようになりました。また、各地域に2つある固有のアクションパートはオリジナル版はクリアしたら二度はプレイできませんでしたが、本作では何回でも遊べるようになっています。

●アクションパートの操作性アップ
オリジナル版はただ剣で普通に切るだけでしたが、「ルネサンス」では連続攻撃、切り上げ、切り落とし、更にはバックステップなど、できる事が増え、操作性が格段にアップ。非常に扱いやすくなっています。

●リアルタイムストラテジーの追加
街を発展させていく際に「リアルタイムストラテジー」パートが発生するようになりました。街に砦などを建設し、ボコボコと湧いてくる魔物を迎撃していきます。

●固有キャラクターの追加
各地域に1人、名前のある固有の人間キャラクターが登場するようになりました。彼らを軸として新ストーリーも展開され、更にリアルタイムストラテジーパートにおいては彼らを操作して魔物と戦う事ができるようになります。

根幹こそ変わっていませんが、様々な要素が追加・刷新されており、オリジナル版に慣れ親しんだ身としては、ちょっと驚いてしまいました。ただ、懐かしさを感じるアクションパートなどはやはり面白かったですね。

では、一体何が良くないと感じたのか、お話していきたいと思います。

気になった事

※あくまで筆者個人の感想となります。皆さんもそう思うかは別となりますので、あくまで一意見として読んでください。

●リアルタイムストラテジーがある事
筆者がプレイしていて、最も違和感を感じた部分がコレです。ハッキリ言わせてもらうと「オリジナル版には一切無かった要素は入れないでほしかった」という事です。
筆者がリアルタイムストラテジーが大の苦手というのもあるんですが、こういう新規要素を入れるくらいなら、各地域のアクションパートを2つから3つに増やすとか、街のフィールドを広げるとか、既存要素を拡充してほしかったと思います。

●固有キャラクターもいらなかった
こちらのルネサンスの新規要素。オリジナル版の人間は全員が豆粒で、名前のあるキャラクターはいるものの、顔グラフィックなどはありませんでした。でも、今思うとそれが良かったと思うんです。「神と人間の立ち位置」というモノが明確だったからです。
ルネサンスの固有キャラクターは天使とも普通に喋るし、なんか「神に対して気安い」んですよね。神ってそういうもんじゃないだろう。
彼らの存在が作品全体を「チャラいモノ」にしてしまったように感じられました。

●BGMはオリジナル版の方が良かった
元々の曲の完成度が極めて高かったというのもありますが、本格的なオーケストラアレンジって、メロディの輪郭がぼやけてしまう気がするんですよね。いっその事、オーケストラ風にするなら、シンフォニックメタル調にしてみるとか、そういうアレンジの方が面白かったかもと思いました。ゲーム音楽としては、そういう方が「映える」と筆者個人は考えています。
また、街の音楽が地域ごとに違うのもちょっと残念だったかな。筆者はオリジナル版で流れていた「人々の誕生」を数時間聞いてても飽きない人間なので。

オリジナルが好きすぎるのもどうか

冒頭に書いた通り、筆者はオリジナル版が大好きです。オリジナルが大好きだからこそ、新しく追加された要素が我慢できなかったという事なんだと思います。しかもこんな偉そうな事を書いておきながらクリアはしてないっていうね(汗)。アイトスの途中で止まったままだったりします。

オリジナルを知らない若い世代、またはリアルタイムストラテジーが好きな人だったら、きっと問題無く楽しめる作品だと思います。この記事を読んで「アクトレイザー・ルネサンスって面白くないんだ」とは一概には思わず、「こういう意見もあるんだ」くらいに考えてもらえればと思います。

【公式サイトはコチラ】
https://www.jp.square-enix.com/actraiser_r/