30年経っての訴え

「世界で最も有名なアルバムジャケットの1つ」と言われている、ニルヴァーナの2枚目のアルバム「ネヴァーマインド(Nevermind)」。そのジャケットは裸の赤ちゃんがプールの中でドル紙幣を掴もうとして泳いでいるというモノ。
その赤ちゃんが30年の年月を経て、バンドを訴えるという珍しい事が起きました。

ニルヴァーナ「ネヴァーマインド」

ニルヴァーナ(Nirvana)は1987年にアメリカで結成されたロックバンドです。「グランジ」と呼ばれる、パンクのシンプルさとハードロックの激しさを融合した音楽性が特徴です。
その存在は一部では知られていたものの、世界はまだまだヘヴィメタルが流行しており、彼らの知名度も高いとは言えませんでした。

そんな状況を一変させたのが1991年に発売された、彼らにとって2枚目のアルバム「ネヴァーマインド(Nevermind)」でした。ビルボードで1位を記録、1曲目の「Smells Like Teen Spirit」は、「グランジを代表する曲」として、当時ラジオなどでヘヴィーローテーションされました。
これにより、彼らの知名度も一気にアップ。しかし、急激な成功によりヴォーカル・ギターのカート・コバーンは精神状態が不安定になってしまい、1994年に自らの頭をショットガンで撃ち抜き自殺。バンドは解散しました。

訴えの内容

イギリスのBBCなどが伝えたモノによると、訴えを起こしたのはスペンサー・エルデン氏。「ネヴァーマインド」のジャケットに映っている赤ちゃん本人で、2021年現在は30歳。ジャケット撮影時は生後4ヵ月だったとの事。
彼は「両親は画像を使用する許可を出していない」「ヌード画像はポルノになる」と訴えています。ジャケットを見た事がある人なら分かりますがジャケットには赤ちゃんの性器もハッキリと映っています。
アメリカの法律では乳幼児の裸は「ポルノ」には当たらないそうですが、ドル紙幣が映っている為「セックスワーカーのように見える」と主張しているそうです。

バンドは既に解散して存在していませんが、エルデン氏はまだ存命のデイブ・グロール(ドラム)と、クリス・ノボセリック(ベース)、カート・コバーンの妻であるコートニー・ラブら15人それぞれに、少なくとも1650万円の損害賠償を求めていると言います。
これに対してバンド側は、訴えに応じていないという事です。

どうなるのか?

2021年8月26日現在、これについては継続中の事案で、まだ決着はついていません。訴えが通るのか、退けられるのか、気になる所です。
ロック好きの筆者は、当アルバムをもちろん持っています。グランジという何者にも媚びない硬派な精神を皮肉たっぷりに表現した素晴らしいアーティスティックなジャケットだと思います。もしも訴えが通ってしまったら、もしかしたら今後このジャケットは使えなくなってしまうかもしれません。なんとか穏便に済ませてもらいたいと思っています。