Xマルチプライとは?
「Xマルチプライ(エックスマルチプライ)」は1989年にアーケードゲームとして稼働したシューティングゲームです。開発はアイレムで、同社が作った人気シューティング「R-TYPE」に近い雰囲気を持った作品です。
遥かな近未来を舞台で、謎の奇病で死ぬ人が増加。調べた結果、ウィルスのように小さいエイリアンが体内に侵入している事が判明。これに対して人間側は、戦闘機を体内に入れるほどミクロ化して「人間の体内に潜むエイリアンを撃退する」という方法を考案。かくして、人間VSエイリアンの史上最少の戦いが始まる、という物語です。映画「ミクロの決死圏」のようです。
そんな物語の為か、機械的ではなく生物的なステージや敵が極めて多く、これが非常にグロテスクなグラフィックになっています。「R-TYPE」もその傾向はありましたが、本作は更にその傾向が強まっています。
ゲーム性は敵を倒してパワーアップアイテムを取得して強くなっていく、よくある横シューティングゲームですが、「R-TYPE」と同じく完全無敵の「触手」があるのがポイント。コレを駆使して、弾を消しながら進んでいきます。
「無敵」のオプションがある為か難易度はかなり高め。おそらく今でも初見でクリアするのは不可能だと思います。
敵の攻撃パターンをシッカリと把握した上で最適の行動をとる必要があり、何度も何度も死んで覚えるタイプと言えるでしょう。
Xマルチプライの魅力
「Xマルチプライ」の最大の魅力は、タイトルにもあるように「グロテスク」な事です。
グロテスクと言っても血がドバドバ出るようなスプラッター的なグロテスクさではなく、節足動物や深海魚などを見てゾワゾワするタイプの「グロテスク」です。機械的な演出も無くはないですが、全体的にグチャグチャっとした生柔らかそうな世界観で、こういうのが苦手な人はプレイする事自体厳しいかもしれません。
しかし、今も昔もSTGと言えば機械的である事がお約束であり(最近は美少女が空を飛ぶタイプも多いですが)、それとは一線を画した奇抜な世界観にも関わらず出来栄えは非常に良く、その作り込みは職人技と言っても良いと思います。
ゲーム自体は決して簡単ではないものの、シッカリとステージを把握すれば切り抜けられる絶妙な難易度であり、何度もやりたくなる中毒性があると思います。
また、余談ですが、本作の舞台は「女性の体内」であると言われており、最終ボスの登場演出が「卵子から子が生まれる」と言ったような演出になっていると言われています。まあ、そう見えなくもないですが、言葉など説明が一切無いため、何とも判断が難しいですけどね。
と、個人的には「R-TYPE」に引け劣らない作品だと思うのですが、アイレムは何故か本作品の情報をあまり外に出さない戦略をとっており、結果的にあまり知名度は上がらず、静かに稼働終了となっていきました。
今プレイするには
2021年現在は、PS4とNintendo Switchで1000円以下でダウンロード配信がされており、どちらかの機種があれば気軽にプレイする事ができます。現物が欲しい場合は、98年にPSとSS(セガサターン)で発売されえた移植版を買う以外に方法は無く、しかもこれにはプレミアがついており、1万円前後の価格となっています。今、レトロゲーム置いてるゲームセンターにも、さすがに無いだろうな……。
気になった方は是非ともプレイしてみてください。